Yamio’s Disc

アフィリエイト広告を含みますよ。けど審査に落ちましたよ。

矢野顕子 / オーエス オーエス

矢野顕子 / オーエス オーエス

 1984年6月25日発売
 通算9枚目
 (スタジオアルバムとして7作目)
 オリジナルはアナログLP
 写真は1986年のCD再発版(MID-2007)

収 録 曲
  1. おもちゃのチャチャチャ (words : Akiyuki Nosaka / additional wards : Osamu Yoshioka / music : Nobuyoshi Koshibe)
  2. HI, HI, HI (words & music : Akiko Yano)
  3. きょうのわたくし (words & music : Akiko Yano)
  4. HIGHLAND (words & music : Akiko Yano)
  5. SIMON SMITH AND THE AMAZING DANCING BEAR (words & music : Randy Newman)
  6. ラーメンたべたい (words & music : Akiko Yano)
  7. 素顔 (words : Yoko Isaka / music : Akiko Yano)
  8. 終わりの季節 (words & music : Haruomi Hosono)
  9. GREENFIELDS (words & music : Akiko Yano)
  10. ASSEMBLY (music : Akiko Yano)

 LP盤はA面=M1~ 5、B面=6, 7, 9, 10。
 M8の「終りの季節」はボーナスEPに収録されていた。
 B面のアタマが『ラーメンたべたい』というのはちょっと燃えるよね。


NOTES

 produced and arranged by Akiko Yano and Ryuichi Sakamoto
 except for M2 by Haruomi Hosono
 Except for M8 by Akiko Yano and Haruomi Hosono

 Engineers : Shinichi Tanaka, Tchad Blake, Peggy McCreary and Terry Christian
 Mixed by Ryuichi Sakamoto and Shinichi Tanaka
 Tape Operators : Steve Shelton, Tchad Blake and Michio Nakakoshi
 Recorded at aOnkio Haus, Tokyoand Sunset Sound , L. A. Sept. 1983 - March. 1984
 Equipment : Akihiko Yamazoe, and Koji Kanemaru
 Transportation : Hayami Koshiyama and Donbay Nagata
 L. A. coordination : Yuko Miura
 Management : Noriko Yamanaka
 Details : Peter Barakan
 Executive Producer : Hiroshi Okura

 Cover Photo : Kishin Shinoyama
 Art Direction : Keisuke Nagatomo
 Design : Takashi Nomura+K②
 Illustration : Midori Murakami
 Stylist : Yasuko Takahashi
 Make up : Chiaki Shimada

 my love to R.S. and our kids, and Jehovah God

MUSICIANS

 Carlos Vega - Drums (M1, 4, 9)
 Richie Hayward - Drums (M5)
 Willie Weeks - Bass (M1, 4, 5, 9)
 Dean Parks - Guitar (M1, 4, 5, 9)
 Kenji Omura - Guitar (M1, 3, 4, 6, 7, 9, 10)
 Chuei Yoshikawa - Ukulele (M4), Acoustic Guitar (M4, 9)
 Motoya Hamaguchi - Percussion (M1, 5, 6, 9, 10)
 Kiyohiro Senba - Percussion (M4)
 Bill Payne - Organ (M1), Piano (M5)
 Akiko Yano - Piano (M1, 3, 4, 6, 7, 8, 9, 10), Electric Piano (M10), Back Ground Vocals (M1, 2, 4, 7, 10), Synthesizer (M2, 8), Vibraphone (M3)
 Ryuichi Sakamoto - Synthesizer (M1, 3, 4, 6, 7, 9, 10), Glockenspiel (M1), Electric Piano (M5, 7), Back Ground Vocals (M6), Drums (M10)
 Shin Kazuhara - Trumpet (M1, 9)
 Steve Madaio - Trumpet (M5)
 Satoshi Nakamura - Alto Sax (M1, 9), Tenor Sax (M9)
 Brad Silwood - Alto Sax (M5)
 Jerry Jumonville - Tenor Sax (M5)
 Slyde Hyde - Trombone (M5)
 Shigeharu Mukai - Trombone (M9)
 Yasuhiro Takamoto - Clarinet (M3, 10)
 Msahiro Takekawa - Violin (M2, 4)
 Joe Strings - Strings (M4, 6, 9)
 Keiichi Suzuki - Back Ground Vocals (M6)
 Peter Barakan - Back Ground Vocals (M6)
 Taeko Ohnuki - Back Ground Vocals (M7, 10)
 Tatsuro Yamashita - Big Bear (M5), Back Ground Vocals (M9)
 Hoota - Back Ground Vocals (M10)

 Yukihiro Takahashi - Drums (M2, 6, 7, 8)
 Haruomi Hosono - Bass (M2, 6), Spanish Guitar (M2, 8), Synthesizer (M2), Acoustic Guitar (M8)

 Jun Aoyama - Drums on Coda (M7)


雑 想

 録音が1983年9月 ~ 1984年3月のL.A.と東京。
 並行して同時期には矢野の創作的 『相方』 でもある坂本がYMOのラスト・スタジオ・アルバム『サーヴィス』のレコーディングに参加(9~10月)。
 更にはYMO散開コンサート(11/23~12/22)をこなしながらという状況。
 ついでながら1984年、坂本は3年ぶりのソロアルバム『音楽図鑑』の発表、矢野と共同でMIDIレコード設立、更には個人出版社『本本堂』始動と前にも増して精力的に活動をしている時期。
 前年に公開された映画『戦場のメリークリスマス』のサントラも好評で、すでに海外を拠点とする構想も抱いていたに違いない。

 前作までたびたび試みられてきた米国チームと日本チームといった対照的な構成*1
 それは一緒に演りたいミュージシャンによってのチーム分けと受け取れるものだった。
 しかしながら本作からは録りたいスタジオがまずあって、それによってメンバーを選んでいるフシもあるのでは、とも感じる。
 つまりそこに呼べるミュージシャンという視点。

 勘繰りすぎだろうか。

 L.A.メンバーの中に大村憲司などの日本組の名前が見られるのは、実際に現地のセッションに参加したということなのか。
 あるいは持ち帰った音源に重ねてもらっただけということなのかはわからない。
 そのあたりに想像を巡らせるのもたのしい。

 それから本作では新しい試みがなされている。
 矢野が坂本と組んでからというもの、アレンジャーはもっぱら坂本もしくは共同でというのがこれまでのひとつの型であった。
 けれど本作では細間晴臣がM2『HI, HI, HI』で。そしてM8『終わりの季節』では矢野と共同でアレンジを担当している。

 M8は細野の1stソロ『HOSONO HOUSE』収録の人気曲で、どうせなら本人にやってもらおうというノリだったのかもしれない。
 しかしM2は矢野のオリジナルである。
 両曲ともDrumsは高橋幸宏、Bassは細野自身といった鉄壁の布陣で。
 シンセも細野&矢野が担当しており、この2曲に限って坂本龍一の名はクレジットされていない。
 このあたりのアレンジャーの違いも本作の聴きどころではないかと思う。

 そのM2『HI, HI, HI』のエンヤトット風リズム。
 これはこの頃の細野の作品では好んで繰り返されたパターンであり、かつて林立夫と『おっちゃんのリズム』を作り上げた細野らしい独自のビートが出ていると思う。
 このリズムパターンは打ち込みでの作品になると、より『おっちゃん』ぶりが顕著になる。そして癖になるのだな。

youtu.be
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 M8『終わりの季節
 原曲よりも冬の朝のひんやり感が『ひとり』を際立たせていると思う。
 矢野版は特に中間部のファンファーレが印象的だ。別れと旅立ちへのファンファーレ。
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 M3『きょうのわたくし
 この稿を書くにあたって確認するまで、この曲の作詞は糸井重里だと思い込んでいた。

 “こんなかんたんなことを まちがえた
 このまえと同じところ まちがえた
 うまくいかないね どうして? わからない
 知っているくせに あなたを悲しませた

 ささやかな加害の哀しみにとらわれて苦しむ「わたくし」。
 誰もが経験した、そう、あの頃だ。

 “ごはんも食べたし 新しいくつ下だし
 今日のわたしにはきれいなしっぽがある

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 間違いなく作詞家としての矢野の代表作だろう。
 そして、のっけからのリズムパターンがもうね、優勝ーっ!
 クラリネットがあたまにこびりついて離れない。


 そしてM7『素顔
 なんといっても井坂洋子の詩の素晴らしさよ。

 “服のように
 簡単に顔を脱げなくて
 苦しい

 YMOによって音楽への耳を開かれた小学生たちはちょうどこのアルバムの頃は思春期だったことだろう。 
 自己嫌悪と自意識に取り留めもなく苛まれていたことだろう。
 とりわけ女子たちはずどんと云い当てられたような気持ちになったのではないのかな。

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 この極限まで削ぎ落したドラムは高橋幸宏
 オカズはタムのただ一発「どーん!」だけだ。
 これがね、Codaで入ってくる青山純のドラミングと対照的で、場面転換を引き立てているのよ。


 その他、
 ライヴでは感涙必定のM9『GREENFIELDS
 このスタジオ版では山下達郎がひとりで重ねたコーラスが凄まじい。

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 そして最後に、
 M6『ラーメンたべたい』だ。
 あまりに有名な矢野顕子の代表曲。
 YMO+大村憲司浜口茂外也という、どうだこの無敵感*2
 「おひとりさま」なんて言葉はまだなかった時代だ。
 ラーメンというものは、
 隣に座る恋人たちには目もくれず、
 ひとりで、
 責任もって食べるものなのであーる。

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 一家に一枚、矢野顕子

オーエスオーエス(紙ジャケット仕様)

オーエスオーエス(紙ジャケット仕様)

  • アーティスト:矢野顕子
  • ユニバーサル ミュージック
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 追記。
 聴き直してみて、大村憲司の存在感に目を見張った。
 ジャケ写は篠山紀信
 

☾☀闇生☆☽
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yamio.hatenablog.com

*1:『愛がなくちゃね』はJAPANとYMOという見方もできなくもない。

*2:本アルバム発売ツアーはこのメンバーから細野が抜けた編成だった。ベーシスト不在をキーボードで補った。